みなさまごきげんよう。
こんな疑問をもっている人向けの記事です。
筆者は社労士として10年以上のキャリアがありますが、AIの普及など時代の変化を感じながらも社労士の重要性や需要は増してきていると感じています。
但し、今後の需要に応えるには、いくつかの抑えておくべきポイントがあるのも事実です。
この記事では社労士としての本質を中心に、
- 現役社労士からみた業界の現状
- 今後も需要がある言い切れる理由
- これからの社労士に求められるスキル
これらをテーマに活躍するためのヒントを解説していきます。
社労士の現状とは?
社労士の役割
社労士は大きく2つの専門家として認識されています。
- 人事・労務管理の専門家
- 年金や社会保険の専門家
社労士資格の活かし方は、個人の興味や価値観で選択することができます。
社労士のよいところは役割の幅が広いことじゃ(^^)
筆者が実際に経験してきた社労士業務は以下の記事を参考にしてくださいね。
ちなみに社労士法の条文には、「事業の健全な発展と労働者の福祉の向上」と明記されています。
これは社労士に「労働者側」・「使用者側」という概念がないことを意味します。労使のそれぞれの立場を尊重し、全体最適の状態を作ることによって双方の発展の支援をするのが役割です。
社労士の具体的な業務について
社労士の業務は、社会保険労務士法で「1号業務」・「2号業務」・「3号業務」に定められています。
1号業務(手続き代行)
1号業務とは、手続き代行に関する仕事のことです。
企業が人を雇用すると、一般的に様々な届出が必要になります。
1号業務の例
- 36協定(時間外勤務)の届出=労働基準監督署
- 健康保険や厚生年金の加入手続き=日本年金機構
- 雇用保険の加入手続き=ハローワーク
2号業務(労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成)
第2号業務とは、労働者に関わる帳簿をつける仕事です。
企業は人を雇用している限り、適切に管理すべき帳簿・書類があります。
2号業務の例
- 労働者名簿
- 賃金台帳(給与に関すること)
- 就業規則(会社のルール)
3号業務(人事労務のコンサルティング)
第3号業務とは、相談業務という位置付けになります。
企業や組織は人の集合体。その“ヒト”を活性するための相談・支援をする仕事です。
3号業務の例
- 賃金制度や人事制度など相談
- 教育や人材育成に関する相談
- パワハラなど問題が発生した時の相談や対応
1・2号業務は今後も需要がある
これからの時代、1号・2号業務はなくなると言われたりします。
でも断言しますが、なくなることはありません。
例えば、
- 発生頻度は少ないけど複雑な手続きもあるし、
- 法改正で具体的な対応が求められることもある。
個別の事例も多く、社労士としての知識を備えておかないと実務上で対応が困難なケースも多いです。
自動化が進むに伴って、1・2号業務を安心かつ確実にこなせる社労士の存在は極めて貴重になります。形やニーズは多少変わっても、今後需要はなくなりません。
社労士の独占業務として今後も1・2号業務の需要は強いぞ(^^)
社労士の今後の需要動向
ここからは今後の需要動向について、世の中の流れも鑑みて解説していきます。
理由①働き方改革を中心とした頻繁な法改正
社労士にとって法改正は新たな活躍の機会となり、そこに需要が発生します。
社労士が専門とする法律は、
- 制度が複雑で理解しにくいし、
- 言い回しや解釈に苦労しやすい。
断片的には理解できても、起こりうる問題点を認識して、具体的に対応するのは難しい事例も多いです。更に社労士が扱う法律は法改正も頻繁に行われます。
最近の法改正の一例
- 働き方改革に伴う時間外労働規制
- 年5日の年次有給休暇の確実な取得
- 同一労働同一賃金
- 産後パパ育休制度の導入
- 社会保険のパートタイム労働者への適応拡大
「103万円の壁」など労働・社会保険のテーマは日常生活に密接しており重要なテーマです。
上記の法改正は全て、企業の実務にも関わってくるのじゃ(^^)
これらの最新情報をキャッチすることは仕入れになるので、社労士にとって極めて重要です。
理由②コンプライアンス意識の高まり
近年は企業のコンプライアンス意識がとても高まっています。
この背景には、
✅ ハラスメントや不当な時間外労働は悪い印象が付くし、
✅ SNSや口コミで悪いことは拡散してしまうからです。
人が集めるには“コンプラ意識”が重要な時代じゃ!
今は人手不足で良い人材は取り合いだからこそ、透明性が求められる時代なんですね。
社労士としては、
- トラブルが発生しにくい適切な労務管理
- 各種ハラスメントの予防や対策の強化
- 柔軟な働き方を導入するための規定作成
など役割はたくさんあります。
人事労務の専門家として、トラブルを未然に防止して、企業コンプライアンスを確立させることの需要は確実に大きくなっています。
理由③アウトソーシング化の広がり
総務・人事部門が担当する業務はアウトソーシング化されつつあります。
- 給与計算
- 勤怠管理
- 社会保険の手続き
これらはHRTechの様々なクラウドワークスが普及しています。
但しこれらは意外に「簡単な業務ではない」!!
アウトソーシング化やシステム化の前提は、
✅企業に正しい法律の知識がある人がいて、
✅正しく労務管理が運用されていることです。
給与計算や社会保険の手続きは、間違いが許されません。会社内で正しい運用がされていることが前提で、システム化や効率化を進めることができます。
とは言え、アウトソーシング化は以下の理由で加速するでしょう。
- 物価上昇や賃上げの流れが加速している
- そうなれば管理部門は最小限に抑えられがち
- 経験豊富な担当者は高齢化の傾向にある
AIが普及しても社労士の需要がなくならない理由
筆者は、急速にAIが普及している時代でも今後の需要はなくならないと確信しています。
感情をもったヒトを扱う仕事だから
社労士は法律だけでなく、ヒトの感情を扱う仕事とも言えます。
- 労働基準法→会社で働く上で守るべきルール
- 雇用保険法→育児休業や介護休業のこと
- 健康保険法→病気や休職中のお金のこと
一例ですが、これらの「働く」や「育児」・「病気」など法律の裏には”ヒト”が存在するんですね。
社労士の扱う法律は、日常生活にとって重要なテーマが多いんです。更に企業を始め、人が集まるとトラブルは付きものです。なぜなら、ヒトは合理的な行動を取るとは限らないからです。
社労士の真の価値は、
- 分かりにくい法律の制度や解釈を
- 人の感情にも配慮しつつ対応する
これで見出せるのも事実です。
企業や個人の重要な意思決定の支援をするから
社労士の仕事の本質は、
- 気持ちや感情に寄り寄り添いながら、
- 人と組織をよい結論に導くサポートをすること。
「よく知っている人」が求められている訳ではないんじゃ(^^)
誤解してほしくないのは、
- 社労士としての法律知識は必要だし、
- ChatGPTは効率化やアイデア出しに確かに便利です。
それでも本当に求められるのは、
自分のこと・自社のことをよく理解してくれていて、腹を割って話せる相談相手だと感じています。
例えば、家族の病気の相談や自分の恋愛相談をしたい時に、ChatGPTではなく信頼できる人に相談して意思決定するはずですよね。
社労士が今後の需要に応えるためのスキル
ここからは社労士として今後の需要に応えるために、必要なことを3つに絞って解説していきます。
- AIと共存する能力
- 継続的に学習する姿勢
- 自分を支えてくれる人脈
AIと共存する能力
これからの時代、AI・IoTを上手く活用することは必須になります。
主な理由としては2つで、
- 多くの企業で活用され始めているし
- 単純に効率化されることになるから。
大丈夫、仕事のあり方が変わってもなくなることはない!
そもそも、社会保険の届出(e-Gov)や住民税(eLTAX)など電子化は以前から進んでいますが、これらの普及で仕事がなくなったことはありません。
例えば筆者はChatGPTをそれなりに活用しますが、とても革新的です。
社労士業務でChatGPTを活用できること
- 給与計算や勤怠管理の基礎サポート
- 入退職手続きのフローチャート作成
- 文書作成や誤字脱字のチェック
- 法改正の内容や通達文書の要約
- 仕事のアイデアを壁打ちする
AIやIoTが普及して仕事の在り方やスタイルが変わっていくのは、全ての業種に共通することです。
継続的に学習する姿勢
社労士として活躍するには、合格してからがスタートという認識をもっておきましょう。
その真意としては、
- 頻繁な法改正に対応する必要があり、
- 常に新しい知識の習得が不可欠だからです。
実務家として課題解決するためには、継続的な学習は避けられません。
専門性の維持と向上には勉強あるのみじゃ(^^)
個人的な本音としては、社労士になってからの勉強の方が楽しいです。なぜなら、実務で直ぐに役に立てることで、具体的に貢献することができるからですね。
また時代に応じて、前述した電子化への対応やAIに関する学習が必要な場面は必ず出てきます。
自分を支えてくれる人脈
需要に応えるための武器として、人脈は心強いものです。
特に作っておくべき人脈としては、
- 同業の社労士
- 隣接する士業
- 人事担当者
などが挙げられるでしょう。
社労士は扱う範囲が広いから連携も重要なのじゃ(^^)
意外かも知れませんが、同業の社労士の人脈が重要な理由は3つです。
- 法改正が多く最新の情報を習得できる
- 沢山の事例を共有することで活かせる
- 社労士にも得意分野と苦手分野がある
ネットワークの豊富さは社労士としての価値を高めて、信頼を獲得にも繋がります。
社労士同士は比較的フランクで繋がりやすいです。受験生時代の仲間とは繋がりを維持しつつ、社労士会などの団体も活用しましょう。
開業社労士は経営者が相手になるので、税理士などの他士業の人脈も有用になります。
社労士を目指すメリットとキャリアプラン
最後に社労士試験を目指す方にそのメリットと最短ルートの紹介をしていきます。
社労士試験の現状
社労士試験は国家試験であり、年に1回・第4日曜日に実施されています。
科目も多いので1日ががりの試験じゃ(^^)
- 午前:選択式(80分)
- 午後:択一式(210分)
科目名 | 選択式出題 | 択一式出題 |
労働基準法 | 3点 | 7点 |
労働安全衛生法 | 2点 | 3点 |
労働者災害補償保険法 | 5点 | 7点 |
雇用保険法 | 5点 | 7点 |
労働保険徴収法 | 出題なし | 6点 |
労働に関する一般常識 | 5点 | 5点 |
社会保険に関する一般常識 | 5点 | 5点 |
健康保険法 | 5点 | 10点 |
厚生年金保険法 | 5点 | 10点 |
国民保険法 | 5点 | 10点 |
【合計】 | 40点 | 70点 |
合格率は常に10%以下と決して簡単な試験とは言えません。だからこそ、人事労務や社会保険に関する専門家として高い評価を受けていることができます。» 社労士試験の科目
社労士資格は就職・転職に有利なのか
社労士資格の保有は就職・転職に大きなアピールになります。
主な理由は3つで、
- 頻繁で複雑な法改正に対応する必要があるし、
- コンプライアンス意識が高まっていているし、
- 従業員が定着する組織づくりが必要だから。
真っ当な組織ほど、このような傾向があり社労士を求めています。
社労士を求めているのは、悩みを抱えていたり、真っ当に発展させていと思っている企業です。逆にこちらが就職したいのも、ヒトを大切にしないブラック企業ではないはずですよね。
近年、企業の人事労務の仕事は「高度化かつ複雑化」しているのじゃ(^^)
社労士は働く上で根幹となる法律を知っているからこそ、できることが沢山あります。
- 働きにくい環境をなくす
- 適切な残業代の支払いなど正しい労務管理、行政への漏れのない届出の実施
- 働きやすい職場をつくる
- 育児や介護、また病気の治療と仕事の両立支援、リモートワークの導入
- 働きがいのある職場をつくる
- 法改正は現場に合った運用での対応、人事評価制度の設計や運営
社労士を目指すためのおすすめスクール
社労士を目指す場合は以下の理由でスクールの活用を強くおすすめします。
- 科目数が多く法律の解釈も難しい
- 問題を解くコツを効率的に習得できる
- 教材のクオリティーが高く理解しやすい
間違わないスクールの選び方については別の記事で解説しています。» コスパ抜群!社労士おすすめ通信講座5選
特におすすめなのはアガルートアカデミーじゃ(^^)
アガルートは受講者の学習レベルに応じた、以下のような3つのカリキュラムを展開しています。
学習レベル | カリキュラム | コース |
初学者 | キックオフ社労士 | キックオフ社労士 |
受験経験者 (本試験択一式が30点未満) | 入門総合カリキュラム | 基礎講座&総合講義 ライト フル |
受験経験者 (本試験択一式が30点以上) | 中上級カリキュラム | 中上級総合講義 ライト フル |
キックオフ社労士はお試しコースといった具合です、本格的に合格を目指す場合は、「入門総合カリキュラム」や「中上級カリキュラム」の2つの講座から選びましょう。そのカリキュラムは、「フル/ライト/総合講義」の3つのコースに分けられています。
学習レベル | フル | ライト | 基礎講義&総合講義 |
基礎講義&総合講義 | |||
選択式集中特訓講座 | |||
科目横断整理講座 | |||
法改正対策講座 | |||
過去問マスター答練 | |||
実力確認答練 | |||
白書対策講座 | |||
模擬試験 | |||
サポート制度 |
まとめ:社労士は今後も需要があります
結論として、社労士は今後の需要は十分にあると言えます。
- 1・2号業務などの事務的業務のニーズは根強いし、
- 時代の変化に応じた3号業務の需要も高まっているし、
- AIが普及しても大切な相談は信頼できる社労士が受ける。
世の中の企業は時代に応じて変化していきます。社労士も法改正情報やAIへの対応など常にアップデートすることで「需要のある社労士」になれると言えます。
それではまたっ。